iRacingで現在進行中のリアリズム追求、と題して、Computational Fluid Dynamics(CFD) – 数値流体力学分野でのTotalSim USAとの提携についてのブログ記事があがっています。
iRacing’s Ongoing Pursuit of Race Simulation Realism
http://www.iracing.com/iracings-ongoing-pursuit-of-race-simulation-realism/
iRacing における CFD 開発、そして CFD の開発における iRacing の有用性についても記載されていて、なかなか面白い内容でしたので、以下にざっと和訳して紹介してみますね。
iRacing’s Ongoing Pursuit of Race Simulation Realism
シミュレーション製造会社の一流のアーティストと車体動力学者による細部まで行き届いた仕事に感謝したい。iRacing.com では現実世界とうりふたつの 50台以上のデジタルレースカーを見たり運転したりレースしたりできる。キーワードは「デジタル」だ。
バーチャルレーシングカーのエアロダイナミクスをモデリングするのは、最寄りの風洞で、というわけにはいかない。そこでレースカーのボディ、ウイング、ホイールなどの表面と空気の相互作用を解析してアルゴリズムと数値を算出する数値流体力学 Computational Fluid Dynamics – CFD で世界をリードするTotalSimに立ち入ってみよう。
オハイオベースのエンジニアリング会社と2011年から提携、iRacingはエアロモデルで使用する精密な数値の取得にCFDの利用を高めるためにTotalSimとの契約を更新した。
iRacing車両動力学担当 Chris Lerch:
TotalSimとの連携はiRacingで進行する忠実にシミュレートした車両挙動の鍵を握っている。インディ500やF1を勝利した彼らのデザイナー及びエンジニアとCFD技術によって、TotalSimは世界有数のレースエンジニアリング会社との評価を受けている。
今年からiRacing車両動力学プログラムに参加した Steve Reis:
TotalSimは確かな CFD のノウハウを持っていて、ペンスキーチームで働いていた頃にストックカープログラムで彼らと働いて多くの成功を楽しむことができたよ。エアロダイナミクスデータは車両挙動にとても重要だ。でも車両メーカーやレースチームから得られるデータだけでは十分とは言えないことも多い。iRacingでは車両外装ジオメトリにレーザースキャンを用いてモデリングについて良い仕事をしているので、我々のチームではCFD を使って正確な空力データを生成することができるのです。
コンシューマ向けのレーシングゲーム/eスポーツ産業においてユニークな、 iRacing と最先端の空力企業との提携は、そのモータースポーツシミュレーションサービスに最先端の物理学を組み込むことへのコミットメントを象徴しています。特に iRacing の車体動力学担当者は従来のレースカーの空力テストによって調査されるものよりももっと広い範囲を追求している。ここでも、CFD は iRacing のニーズにうまく適合している。
TotalSim USA代表/元Rahal Letterman Lanigan Racingの空力担当テクニカルディレクター Ray Leto:
仮想風洞としてのCFDを考えるのだ。それを使えば、特にシムレーシングに関するあるシーンにおけるiRacing車両の物理ジオメトリをテストすることができるようになる。風洞を使った場合、とても限定された範囲の傾きで特定された仕様に基づいてのテストしか行えないが、CFDを使った場合にはより広範囲をカバーすることができる。我々は、レースカー自体のパフォーマンスを最大限引き出すだけでなく、レースカーに起こるどんなことでもすべて正確にシミュレートしたいと思っている。例えばただ1台の車をドラフトするのでなく、4台、5台、10台でのドラフト中のエアロダイナミクスを理解したいし、あるいはヨーが90度になって横に向いたときに車体がどうなるかを理解したいのだ。
そういうときにCFDが役に立つ。物理的に風洞では実現不可能だったり非現実的な条件下でのテストができるのだ。
最新の CFD 適用の良い例として、2016年末までに予定されている Eldora や Williams Grove Speedway でのダートトラックレースを特徴とする計画には特別な重要度がありました。
iRacing車両動力学担当 Chris Lerch:
“ダートレーシングにおけるドラフティングの解析はCFD作業においてもリストのトップにある。巨大なヨー角を操るダートトラックマシンは風洞テストするには難しく、ウイング付きスプリントカーなどでのエアロダイナミクス作業にはCFDがとてもフィットする。
iRacingのTotalSimとの提携でもうひとつの重要なことは、最終的にはiRacingをCFD開発自体に使えるようにすることだ。
iRacing車両動力学担当 Chris Lerch:
究極的には、ある意味iRacingの内側に十分な能力と自律性を生むやり方でTotalSimと提携したいが、iRacing は TotalSimに依存はしていない。Ray と TotalSim は最初からそのアプローチも受け入れていました。
確かに、iRacing との提携はCFDアプリケーションを自動車デザイナーの幅広い階層に使ってもらうTotalSimの取り組みに関連します。
TotalSim USA代表/元Rahal Letterman Lanigan Racingの空力担当テクニカルディレクター Ray Leto:
CFDに関する我々の知識によって大きな風洞の投資なしにエアロダイナミクスに関するテストをできるようにしたい。コンセプトカーやボディキットを作るとき、この点でiRacingはパーフェクトなテストベッドだ。iRacerが彼ら自身のレースカーをデザインするツールとしてCFDを使うことができるようになる日を想像することだってできる。
iRacingとTotalSimは既存車両の空力特性をモデル化し、シムレーシングのリアリズムにおいてゴールドスタンダードとなっているiRacingをより強化するべく複雑な演算を一緒に継続していきます。
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