iRacing x64
64ビット版の開発状況などについて開発スタッフからメンバーフォーラムに投稿がありました。
http://members.iracing.com/jforum/posts/list/2055348.page
現在アルファテスト中の64ビット版の開発に大量の開発リソースをつぎ込んでいる理由やメンバーからの質問への回答が書かれています。
まず64ビット版を開発する理由については、次のように説明しています。
- 最近のPCの多くは64ビットCPUや多くのメモリを搭載している
- 64ビットCPUと64ビットOSを使用しているメンバーの割合も急速に増えてきている
- 64ビット環境でも32ビットアプリケーションは問題なく動作しているが、64ビットネイティブなアプリケーションに比べるといくらかのハンディキャップがある
- 64ビットアプリケーションは32ビットアプリケーションよりも多くのシステムメモリを使える
- 32ビットアプリケーションは64ビットOSを扱うにはDirect3DやDirectSoundやWindowsカーネルを含む各処理でその都度オーバーヘッドが発生するが、64ビットアプリケーションではそれがない
- 64ビットアプリケーションがアクセスできるCPUやレジスタの数はおよそ倍にもなるので処理に必要なメモリアクセスを減らすこともできる
- 64ビットアプリケーションだけがアクセスできるCPUの拡張機能もあり、それを使って効率よく最適化が行える
- メンバーのクライアントシステムや、我々のシミュレーション及びレースサーバは既に32ビットシステムのメモリ制限に突き当たり始めていた
大きなプロジェクトだが、今のところは予想していたよりは早いペースで進行しているそうです。
また、メンバーからの気になる疑問への回答として、以下が記されています。
- 32ビットシステムを使っているユーザが警戒すべきことは何もない。32ビット版のサポートを終了するときは来るかもしれないが、32ビットシステムを使っているユーザは多くいるのでしばらくはそれはない。そのような大きな変化をもたらす場合には、事前の通知を長期間行うだろう。
- 64ビット版はまだまだアルファテストとベータテストを終えなければならないし、大きな問題が見つかればそのリリースは遅れるだろう。リリース時期は決定していない。
- PCには64ビット版と32ビット版の両方の実行環境がインストールされることになります。マシンやトラック、リプレイなどシミュレーション用のデータは両方で共有することになるので、64ビット版のために必要となるのはわずかな実行ファイル群のサイズだけです。
- 32ビットシステムで64ビット版が選択されても動作不良は起こらないように設計し、自動的に32ビット版に戻るようにしている。デフォルトでは全ユーザが64ビット版を実行するが、32ビットシステムでは自動的に32ビット版にフォールバックする。64ビットシステムを使うユーザが32ビット版を選択できるようにはなるだろう。
- 32ビット版と64ビット版でどちらかに有利な点があるかどうか分かりませんが、現時点では、同じセットアップであっても車高に差が生じることを発見しているので、そういった有利不利が生じる可能性は除外していません。64ビット版では命令や計算精度などが異なるので、複雑な方程式で誤差が生じるのは避けられない。
- 現時点では64ビット版と32ビット版に機能的な違いはないが、64ビット版はfmodをサポートしません。近いうちに32ビット版もfmodをサポートしなくなるので、そうしたら32ビット版と64ビット版の違いはなくなります。
- 事前テストによれば、64ビット版と32ビット版にFPS計測での速度の違いはありません。64ビットの恩恵を得るための最適化はまだ行っていないのに、アルファテスト中の64ビット版は、少なくとも32ビット版と同等程度の良いパフォーマンスを示しています。
時期は未定としながらも、よほどのことがなければ、今シーズン末(10月末)のリリースとなりそうな気配のようです。
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