視線のコントロール

George Wood氏による2013.08.21付けiRacingNews記事、Circle-Track School: Line of Sight Behind The Wheel を、ざっとですが和訳して紹介します。

Line of Sight Behind The Wheel

時速約100kmで高速道路で大型トラックの後ろを走っているときにこの写真を撮りました。この状況を想像してください。あなたは走行中、どこを見ていますか?

写真1 運転中よくある光景です。運転中どこを見ていますか?

多くのストリートドライバーは、ダッシュボードのメーターをチェックしていたり、直接前方の道路を見ていたり、トラックの後ろに書かれている文字を読んだりしていることでしょう。トラックに注目してしまうと、トラックの動きしか目に入らなくなり、トラックの向こうで何が起きているかは分からなくなります。その車線だけしか見ていないと、周囲の状況を認識しにくいトンネルビジョンを招き、事故の可能性を上げてしまうため、とても危険です。

それで、どのようにすればより先を見越した運転ができるでしょうか。どこを見て運転するのがよいのでしょうか。直接見ているものに意識が向くのが人間の本能ですから、トラックを見ていると自然とトラックに意識が向かい、トラックの動きにだけ注目してしまうので、視野を大きくして、トラックを越えて状況を把握できるようにします。

えぇ、もちろんトラックの向こうまで見ることはできませんから、トラックの周りを見るのです。実際に高速道路でこのような状況になったとき、トラックよりもずっと前方に視線をやるべきなのです。

写真2. 赤い部分(トラック後部)を見ていてはいけません。緑の部分(トラック周囲)を見ていれば黄色や赤の部分で起きたことにもすばやく対応できます

シムレーシングに置き換えるとどうなるでしょうか。クリーンエアな周回と、トラフィックで密集した中での走行、異なる2つのアプローチがありますね。

まずは単独での走行を考えましょう。他の車に邪魔されることもなければ、自由なラインで走行することができます。このようなときは、ただ単にあなたの目印を通るだけです。

トラフィックにおいては、そういった目印を目指したくても、目の前のマシンによってあなたの視野は塞がれていることでしょう。そのようなときには、それらのマシンのさらに前方に注目すれば、視野を広げて安全にレースができるようになります。

以下では、ブリストル モーター スピードウェイでのプラクティスセッションで遭遇する、色んなシチュエーションについて、それぞれ視線の置き方を説明します。成功するドライバーはどのような視線で災難を避けるのでしょうか。

写真3. 緑の部分で起きたアクシデントを発見しやすいように、トラックを見渡すように視線を先に置きます(ミラーもちらっと見ます)

写真4. 前方に目印を置き、その先の緑の部分で何が起きているかを発見しやすくします。前の車を見ていてはいけません)

写真5. 次のコーナー進入を考えながら、前車越しに前を見ています。バンパーを見ていてはいけません)

写真6. 前を走るマシンよりもさらに前に視線を置きます。前のマシンを見ていてはいけません)

写真7. 視線はコーナー出口へ。前のマシンのカーナンバーは見ていられないでしょう

レーシングビジョンを発達させるためには、数秒先の位置を示すようにフロントガラスやモニターにマスキングテープを貼るのもいいかもしれませんね。

最後に。iRacingでもF1やF2などのキーやボタンを押して多くの情報にアクセスできますが、そんなのは使わなくてもいいんです。現実世界ではそんなHUDをヘルメットのバイザーに仕込んだりしていませんからね。

リーダーがどこに居るのか気になる? そんなことはどうでもいい、見えてないんだから意識するな!
誰か追いかけているか知りたいか? ストレートでリアミラーをチェックしろ!
ラップタイムが気になる? スポッターにコールさせろ!
メーターが気になる? 注意して欲しいときには勝手に点滅し始めるさ!

※訳者注:本記事では最後にラップタイムが落ちるなどと書かれていますが、ラップタイムではなく安全度を求める上で、視線の置き方について参考にできる記事です